2/23カープ練習試合 vs日ハム~打者全成績と試合評
ジョンソン 3回 37球 被安打3 四死球0 奪三振3 失点0
ヘルウェグ 1回 15球 被安打1 四死球1 奪三振0 失点0
ローレンス 3回 57球 被安打7 四死球1 奪三振0 失点7(自責6)
オープン戦開幕を前日に控えた広島は、昨年パリーグ3位の日ハムを迎えての練習試合。この日の注目はなんといっても、ジョンソン―會澤のバッテリー。来日以来、ジョンソンはほぼ全イニングで石原とバッテリーを組んできた。しかし、石原の年齢と打撃成績の劣化を考慮すると、今シーズン中に會澤とのコンビが発生する可能性は大いにある。また、打線は3番に坂倉、5番に西川、7番にメヒアという布陣。3選手共に「誠也の前」を打つスペックを持っているだけに、この試合での活躍が今後の構想に大きな影響を与えると考えられる。
◎試合評
まずは投手陣から。冒頭で挙げたジョンソン―會澤のバッテリーは、素晴らしい適合を見せた。初回、2本のヒットで招いたピンチでは、好打者・近藤にフルカウントまで粘られるも、根負けせず内野ゴロを打たせゲッツー。その後の2イニングでは右左関係なく、速球と変化球を絶妙に織り交ぜ、打者を翻弄。3回は1死3塁のピンチを、三振と内野ゴロという理想的な形で切り抜けた。
続いて登板したのはヘルウェグ。この投手は、右に抜けていくボールをいかに減らしていくかが課題である。この試合でも、140km/h前後のストレートは、コントロールされたいいボールがいっていたが、少し力が入ると、上記の課題が浮き彫りになった。先頭打者・王を打ち取り、迎えた近藤との対戦では、球速が146km/hまで上昇するも、外角に大きく外れる球が目立ち始め、3-1となったところで甘いボールを痛打された。2死からも同様にカウントを悪くし、四球を献上。制球難という課題が解決されない限り、フランスア、ジョンソンといった助っ人を押しのけ、1軍の枠をつかむことは困難だろう。
3番手は中﨑。直球は140km/h前後だったが、新球フォークも織り交ぜながら、1回を無失点。個人的には投球内容よりも、中島への許盗塁のシーンについて再考すべきだと思う。2死1塁、打者大田泰示の初球で、一塁走者中島がスタートを切り、盗塁成功。送球自体も高くそれていたが、それよりもバッテリーがこの盗塁に対し、ノーケアだったことが気になる。一塁走者・中島は、大田の前打者・西川の打席で、盛んにスタートのタイミングを計っていた。そうした駆け引きを抜きにしても、中島の走力を考慮すれば、相応のケアが求められる場面だったと言えよう。しかし一連の投球で牽制球はなし、投球テンポも一定だった。昨年の課題であった許盗塁率の改善を意識するならば、この盗塁は対策してしかるべきものだったのではないだろうか。
続く4番手として、先発ローテ入りが期待される新外国人・ローレンスがマウンドへ。しかしそのローレンスがピリッとしない。先頭の王にはボールが先行し、カウント球を狙われスリーベースを浴びる。続く近藤は2球で追い込むも、決め球に欠けフルカウントに。この打席は、痛烈なレフトライナーを坂倉がおさえ、事なきを得たが、次打者・横尾に浮いた初球をスタンドまで運ばれた。さらに続く清宮のフェンス直撃のツーベースでピンチを招くと、8番石川のポテンヒットの間に3点目を献上。次のイニングでも味方のエラーが絡んで3失点。3イニング目の8回にもスリーベースを許し、最終的には3回7失点(自責6)という結果になった。この投手は制球で苦しむタイプではなく、勝負しやすいカウントを作って、打者にスイングさせない、という投球スタイルが持ち味だ。今日はカウントを作れなかったばかりか、浮いた球を初球から痛打されてしまった。この結果をもとに修正を期待したい。
最終回は一岡。ボールスピードもあまり出ておらず、力みが見るからに伝わってきた。4本のヒットを集められ、2失点を喫した。まっすぐにこだわって調整を続けてきていただけに、今日の内容は少々不安の残る結果となった。
次は野手陣。冒頭で取り上げた3人は、それぞれアピールに成功した。まずは3番に入った坂倉。1打席目はエンドランのかかった状況でしっかり転がし、得点圏を演出。4回の第2打席では、無死1塁の場面で1.2塁間を破る強烈なヒットを放った。いずれも塁上にランナーを置いた場面で、4番の誠也につなぐ素晴らしいバッティングを見せた。
5番の西川はタイムリーツーベースを含む2安打2打点の活躍。特に4回、無死1,3塁の場面での犠牲フライは効果的だった。1-2と追い込まれながら、自分の仕事をきちんとこなしたことは、中軸打者として評価できる。
7番のメヒアは21日の練習試合に続き、2試合連続のホームラン。飛距離も十分、ストレートに振りまけず、自慢のパワーを見せつけた。
といったように、3番候補の3名は「打」のほうで十分な可能性を示したが、彼らに共通する問題点は、「守」のほうにある。レフトに入った坂倉は、レフト線の打球にいい反応を見せ、ツーベースを阻止する好守があった。その一方で、記録に残らないミスも。9回表、郡選手の放った左中間への飛球に対し、グラブにあてながらも抑えきれず、スリーベースを許してしまった。その他の二人、西川とメヒアに目立った守備機会はなかったが、今後もこの布陣での起用は予想される。引き続き注目していきたい。
他の打撃陣で触れておきたいのは、新人二人。小園は2打席に立ち、ショートのエラーと空振り三振。沖縄入りしてから、ほとんどファーストストライクに対してスイングしており、結果として早打ちの格好となっている。投手が仕上がってきたこともあり、ミスショットが増えてきた印象がある。もし2軍で試合数を積むのであれば、「自分でカウントを作る」という姿勢で臨んでほしい。正隨は与えられた1打席で結果を残した。内角の直球をうまくさばき、つまることなく三遊間を破った。ここにきて下水流の離脱は、正隨にとっては吉報だといえよう。開幕一軍スタートへのアピールは続いている。