ぽにかのつぶやきロングバージョン

気ままにいろいろと書いていきます。主にカープのこと。できればラグビーのことも。

カープファンの「サインのもらい方問題」について〜本当に悪いのはファン?球団?

今日は、最近話題の「サイン問題」について書いてみようと思います。その中でも、一般的にマナーの問題とされる「サインのもらい方」について、僕なりの見解を書いていきます。

まあこの記事に飛んでくださったみなさんは、上記の「サイン問題」について、なんのことか察していただいていると思います。ざっと説明すると、天福球場正面の柵がサインを求めるファンによって押し倒された、という内容です。これだけ読むと、「これだからバカープファンは」となっても仕方ないですね。ただ、現地にいた者としては、この問題を「ファンのマナーの問題」の一言で片付けるのは少し違うな、と感じます。


単刀直入にいえば、僕は球団側の対応にも疑問を感じます。

まずどうして柵が倒れたのか。それは、この「サイン会場」が、構造的欠陥を抱えているからです。球場正面に設置された柵は、全長230mくらい。ここにずらっとファンが並びます。一列目の人は、そこに陣取ったまま動きません。その後ろに二列、三列と人の層ができます。この時点で、一列目の人は「列を抜けたくても抜けられない」状況にあることがわかると思います。(せっかく陣取った一列目を抜ける人はいないと思いますが)

つまり、二列目、三列目の人がサインをもらうためには、一列目の人を押しながら、前に前に手を伸ばすしかないのです。

さて、こんな構造的欠陥を抱えたサイン会場に、鈴木誠也が現れたとします。当然、誰もが新しい「背番号1」のサインを求めるわけです。こうなると、列は四列、五列とどんどん増え、柵にかかる負担も大きくなり


この構造的欠陥は、少し工夫するだけで改善されると思います。例えば、あらかじめ「今日はこの選手が名の方限定でサインを書きます」と告知をする。そして、その選手のサイン希望者に整理券番号を配る。必要とあらば抽選を行う。こうすれば、上記のような混乱は確実になくなりますし、多くの人に等しくチャンスが与えられます。 

それなのに、ファンの「良識」だとか「マナー」だとかに任せ、結果的にこうした事態を招いてしまったことは、球団のミスではないでしょうか。もちろん、予算・時間に制約がある中で、ファン対応に割く時間はあまり残されていないかもしれません。それでも、「選手の安全を守る」という大前提のために、必要な対策を行うのが球団の役割ではないでしょうか。


さて、ここまでは一方的に球団への注文を述べてきました。ただし、本当に改善すべきはやはり、「一人一人のファン」です。僕は今年、初めてキャンプに足を運びました。普段外野席にいる僕にとって、選手との距離の近さや、選手からもらえるサインは、とても魅力的に思えました。こうした魅力を、生かすも潰すも、一人一人のファンの行動次第ではないでしょうか。

先ほど、サイン希望者への整理券配布、という案を示しました。正直、僕はこんな「人工的な」サイン会は好きになれません。愛してやまないあの選手が、自分の方へ向かって歩いてきたときの高揚感、目の前でサインを切り上げてしまったときの失望感。こうした自然な感情は、プラスであれマイナスであれ、一生の思い出になるはずです。

例の柵に作られた列の最後尾、お父さんの肩に乗せられ、必死に手を伸ばす少年がいました。ある選手は、それに応えるように手を伸ばし、色紙に一生の思い出を書き残していきました。その一枚の色紙が、これからの球団を作り、支える大切なファンを生み出すのです。チームのため、我々が取るべき行動は明らかではないでしょうか。


こうしたサインにまつわる問題は、各球団で(規模の大小はあれど)起きていると思います。その最たるものが、松坂投手のあの事件でしょう。すでに「サイン問題」は日本プロ野球界全体を取り巻く問題です。各球団が「それなり」に取り組むだけでは、より大きな事件がいつ起こるとも限りません。この問題は、組織全体で「具体的に」取り組むべきものでしょう。